口腔ケアの効果
「虫歯と歯周病の予防」
高齢者は唾液が減少し、自浄作用が低下しているため虫歯や歯周病になる可能性が高いのですが、それは歯と歯の間や付け根の部分、歯と歯ぐきの境目に歯垢が溜まりやすくなるからです。しかし、口腔ケアで口内を清潔に保つことによって予防できるため、虫歯や歯周病になるリスクを下げることができます。
「高齢者に多い誤嚥性肺炎の予防」
厚生労働省の統計によると日本人の死亡原因は1位が癌、2位が心疾患、3位が脳血管疾患、4位が肺炎、5位が老衰です。そのうちの3位である肺炎は高齢者も罹患しやすいため注意が必要ですが、特に高齢者に多いのは誤嚥性肺炎と呼ばれる、唾液や飲み物、食べ物が誤って気管から肺に入り込んだ際に口内の細菌が肺に入ってしまうことで起きる肺炎です。口腔ケアによって口内の細菌数を減らし、なおかつ飲みこむ力である嚥下機能が維持・向上できれば誤嚥性肺炎の発生率を下げることができます。
「唾液の分泌量が増える」
高齢者、特に要介護者は口腔機能が低下しています。その上、内服薬の副作用によって唾液も出にくくなっているため口内は乾燥しがちです。しかし、口腔ケアによって口の中が刺激されることによって唾液が出やすくなるため、ドライマウスの予防にもなります。また、唾液の分泌量が増えることによって口内を清潔に保つことができるため、舌の表面に汚れが付きにくくなり、口臭も予防できます。
「味覚が改善できる」
口腔ケアは食後に行うイメージが強いかもしれませんが、食前に行う場合があります。食前に行うことでさまざまな効果も期待できます。高齢者は自浄作用が低下しているため舌に舌苔が付着したり、口内が乾燥したりしています。その状態では味覚を感じる力が鈍くなってしまいますが、食事をする前に舌ブラシや口腔ケア用のティッシュなどで舌をきれいにすると口内も潤ってくるため、味覚の改善が期待できます。また、口腔ケアで刺激されることによって生活リズムが整えられるため健康的な生活を維持することができます。
「認知症予防になる」
ある調査によると、歯がほとんどなく入れ歯を使用している人は20本以上歯が残っている人に比べて認知症になる確率が1.9倍高くなることが分かったそうです。認知症を予防するためにも歯を失わないようにケアすることが大切です。
「心臓病や糖尿病の予防になる」
歯周病はそれほどリスクが高くない病気だと思っている人も多いかもしれません。しかし、歯周病菌が血中に入り込むと心筋梗塞や狭心症などの心臓病を引き起こす可能性があります。また、歯周病が悪化すると糖尿病も悪化してしまうため、口腔ケアで歯周病菌を減らすことが大切です。