はじめる前に
まずはしっかりと説明する
口内は非常にデリケートな部分です。口腔ケアをはじめる前に、必ず要介護者本人に口腔ケアについて説明し、意思の疎通をはかることが大切です。認知機能が低下している高齢者は意思の疎通が難しい場合もありますので、無理強いせずにまずは「気持ち良い」と体感してもらうことからはじめましょう。口腔ケアを嫌がる人もいるかもしれませんが、嫌がっているからといって何もしないと状況は悪化するだけです。言葉を尽くして口腔ケアの重要性を伝えてみましょう。それでも、状況が変わらないようなら、無理に行うのではなく歯科医師や歯科衛生士など専門科に相談してやり方のアドバイスをもらいましょう。
押さえておきたいポイント
【口内はよくチェックしましょう】
要介護の状態が長く続くと口内が放置されている場合があります。まずは口内に問題がないかよく観察しましょう。痛みがあると口腔ケア自体を嫌がってしまうため、口内炎や歯ぐきの腫れ、入れ歯による傷など痛みの原因となるものがないかチェックします。問題があったら歯科医師や歯科衛生士に相談しましょう。高齢者は加齢や虫歯の影響、歯の喪失によるかみ合わせなどで健康な状態の人に比べて歯ぐきが下がったり、歯の根を支える骨が溶けてグラグラしたりしています。口内を確認するときは高齢者の歯の特徴を踏まえながらチェックしていきましょう。以下の「高齢者のお口の健康」では高齢者の歯の特徴をイラスト付きで分かりやすく紹介しています。
身体機能を維持・向上させるためにも口腔ケアは重要ですが、介護士がすべて介助しては意味がありません。最小限にとどめるようにしましょう。介護の程度に合わせて必要な介助を考えます。例えば、筋肉の衰えや麻痺の予防・改善を目的とするなら、本人の残っている能力を活かせるように自助具や工夫した清掃具を活用し、介護士は仕上げだけ行うようにすると良いでしょう。
【口腔ケアで注意したいのは誤嚥です】
寝たきりの状態だと嚥下機能が低下しているため、顔を横に向けたり、枕を使って下顎を引いたりして水分が気管に入らないように注意しましょう。すぐに拭き取れるよう綿棒やカット綿を用意しておくとスムーズに進められます。麻痺がある場合は、麻痺した側を上にして行います。
【口腔ケア用の便利なケア用品もあります】
口腔ケアは要介護者本人に負担がかからないように短時間で効率良く行わなければなりません。その際に役に立つのが、歯ブラシやスポンジブラシ、歯間ブラシ、舌ブラシなどです。便利な口腔ケア用品を上手く活用して、口腔ケアをスムーズに進めましょう。以下のサイトでは口腔ケアに必要な道具を一覧で表示しています。